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預貯金は遺産分割の対象か

2016年09月08日

こんにちは。高知の弁護士の津田です。

最近,相続の相談が多いです。

相続の分野って,

結論が法律や判例で明確になっていないことが多かったり,

当然と思っていることが当然ではなかったりということがあります。

回答するときも慎重に言葉を選ばないと誤った認識を与えてしまいます。

 

例えば,「預貯金が遺産分割の対象か否か?」という問題ですが,

普通に考えれば,遺産分割の対象と思いますよね。

むしろ,それをどう分けるかが相続人の最も関心があるところです。

でも,判例は,当然には遺産分割の対象とはならないとしています(最高裁昭和29年4月8日判決)。

もっとも,相続人全員が合意すれば,やっぱり遺産分割の対象となるし,

実務では,割と当然のように相続人全員が合意しています・・・。

このことを私が相談者に回答する場合,

「預貯金は,当然に相続分に応じて分割されるから,遺産分割の対象に含まれないけど,

実は実務では,みんなが合意して遺産分割の対象にしているんです。」というようになります。

相談者にしてみれば,「じゃあ,結局どっち?」という話です。

そもそも,遺産分割の対象とするかしないかを相続人の合意に委ねるのって

公平ではない気がします。

 

そして,やっと,この度(平成28年3月23日)この問題についての許可抗告審において,

最高裁第一小法廷が審理を大法廷に回付しました。

これは「預貯金は遺産分割の対象外」としている上記判例が

覆る可能性が高い・・・ということを意味します。

すっきりした結論がでることを期待しています。