争続を避けるために②
2017年02月14日
弁護士の津田です。
まず,争続を避けるために相続人側で心がけてほしいことを書きたいと思います。
一般的には「遺言を残しましょう!」というところからスタートかと思います。
が,
遺言を残すことは,却って相続人間の紛争を大きくする危険をはらんでいます。
ある相続人の遺留分を侵害する内容の場合は当然のことですが,
そうでなくとも,一方的にある相続人のみを優遇する遺言は,
当然のことながら,その他の相続人に争う動機づけを与えます。
あなたの相続人が遺言を見るとき,あなた(被相続人)は死んでいます。
相続人は,あなたの遺言を見るときその理由を詳しくあなたに聞くことはできません。
もやもやとした不満のみが残り,その不満が優遇された相続人に向けられます。
本当にあなたが,あなたの死後の相続人の幸せを願っているのであれば,
単に遺言だけを残すということは避けるべきです。
それは,財産を残してあげたいと思っている相続人までも争続により不幸にしてしまう
可能性があります。
ある相続人に多くの財産を残してあげたいと考えているのには理由があると思います。
長男の方が苦労を掛けた,老後の面倒を見てくれた,近くで気遣ってくれた,
次男には,十分な教育資金をあげた,多額の新築祝いを送ったetc…
そこにはあなたなりの公平さがあると思います。
もちろん,そのような内容の公平さは重要です。
しかし,相続においてもう一つ重要なのは,遺される人への手続の公平性や透明性かと思います。
再度言いますが,相続が発生したときあなたはこの世にいないのです。
あなたが生きているうちに,相続人たちに十分な情報を与えて,
相続人の十分な納得と(時に反論)を受けたうえで,
遺言の内容を決めていくことが大切かと思います。
遺言はそのような話をしたうえでの被相続人と相続人との確認事項であると私は思います。