遺産調査について
亡くなった父(被相続人)の預金の取引履歴を過去に遡って調査することは出来ますか。
銀行などの金融機関は預金契約に基づいて預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負います。そして、預金者が亡くなった場合には、預金者の共同相続人の一人は他の共同相続人の協力がなくとも、一人で取引履歴の開示請求を行使することができます(最高裁平成21年1月22日)。
したがって、遺産相続に先立ち、被相続人の方の預貯金の使い道について疑問がある場合(他の相続人による使い込みなど)には、遡って預貯金の取引経過の開示を求めることができます。高知の金融機関でも相続人の1人が取引経過の開示を求めれば応じてくれてます。
先月父がなくなりました。長い間父とは音信不通であり、父の所有している不動産がどこにどの程度あるかわかりません。何か調査する方法はありますか。
被相続人の所有していた不動産が存在するのか、存在するとして何筆何棟あるのかを調査する方法として、市役所や町役場の名寄帳を取得する方法があります。名寄帳は、市役所や町役場が、固定資産課税の管理のために作成している固定資産課税台帳の登録事項と同一の事項が記載されています。相続人であれば、被相続人の名寄帳を取得することができます。
あなたの場合でも、市役所または町役場に行って名寄帳を取得すれば、お父様の所有(共有)していた不動産を知ることができます。もっとも、各市町村の役場で取得できるものは、その市町村にある不動産のみですので、複数の市町村にまたがって不動産を所有している可能性がある場合には、それぞれの市町村で名寄帳を取得する必要があります。たとえば高知市、安芸市でそれぞれ不動産を所有している可能性があれば、高知市役所、安芸市役所でそれぞれ名寄帳を取得する必要があります。